洛菜庵

古都の郊外、四季折々の散歩道です

月見草の人生、野村克也さん

楽天イーグルス監督の野村克也さん、チームは今シーズンも力尽きて最下位です。試合に勝っても負けても、わたしはスポーツニュースの監督コメントがいつも楽しみです。プロスポーツ界ではトップクラスの、豊かな言葉を持っておられる人だと思います。

いままでも数々の名言や語録を残されています。
「戦いに勝つは易し、勝つを守るは難し」
「凡事徹底」
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
「金があれば優勝できるのか、貧乏人が金持ち倒すのが一番痛快や」
…など。
いくら毒妻を持っていても、野村さんが名将であったことはいささかも色あせません。

選手時代の名言では…
「長嶋や王はひまわりですよ。僕は人の見ていない日本海の夜の浜辺に咲く月見草みたいなもんですわ」(六百号本塁打の昭和50年)。太宰治「富士には月見草がよく似合う」を引いていても、ONを富士山の高嶺にまで例えなかったのは、戦後初の三冠王である野村克也としての矜恃なのでしょう。

野球もサッカーも「これからも頑張りますから応援よろしく」ではいけません。江夏豊さん、落合博満さんらがそうだったかも。


2006年に楽天イーグルス監督に就いたときからも、弱者の戦略として「無形の力を養おう !」と説いていました。つまり、目に見える技術を有形として、それに対して観察、洞察、判断、考察…などを磨けと。

「苦労という渦の中に飛び込んでまいりました。…そういう星の下に生まれて来てますから」
「手を抜いちゃだめ。楽を求めたら苦しみしかない」
「失敗と書いて成功と読む」
「いや、ちょっと待てよ。長生きしている動物は何してるかな。カメ、ワニ、100年生きるらしい」
「気楽に行けよ」(他球団で不遇だった筋肉マンこと山崎武司内野手に)
「マーくん、神の子、不思議の子」

野球に人間国宝があるのなら、この人です。