洛菜庵

古都の郊外、四季折々の散歩道です

いい映画、いい映画館

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映画「おくりびと」。話題になってから観るのはブームに流されるようでいやだったけど、そのとき無性に見たくなりました。仕事帰りに行けるところは限られています。その日やっぱり、京都や大阪の映画館は満席でした。ちょっと考えて、大津駅近くの滋賀会館へ。ここは数人が上映前に待っていただけで、なんなく入場できました。

命あるものはいつかは死ぬということ。でも、フツウの人が持つ人生観との乖離はあるものです。身近なことなのに、しっかり見えない命をあらためて気付かせる映画でした。豪華な舞台やキャストを使わないから地味な画面です。広末涼子がいなければ気持ちが沈みきっていたかもしれないほど、暗~い要素たっぷりです。
主人公の父親役の峰岸徹さんは昨年10月に肺がんで亡くなっています。映画の中で台詞はなかったけど、存在感がありました。庄内平野の野辺送り行列のシーンも、山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」以来。アカデミー賞と庄内は相性がいいのでしょうか。父子の「いしぶみ」もよかったなぁ。

他の映画館が満席なのに余裕で入場できた滋賀会館シネマホールは、数年前に復活再生してもなお、赤字続き。指定管理者による精一杯の企業努力も追いつかず、来春は文化施設でなくなるそうです。いい映画を観たい人に、駅から近い便利な映画館なのに、経営的に続かない現実があるのです。