洛菜庵

古都の郊外、四季折々の散歩道です

春の京食材・筍

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 桜が咲くころ、洛西の孟宗筍が旬を迎えます。

 洛西の筍は、京の極上食材として重宝されてきました。タケノコを収穫する竹林には敷きわらと土を層にして、竹の地下茎から地表までの十分な深さを確保します。土入れ作業を百年以上も続けているゆえ、幾重にも重なった藁と土の層が背丈ほどにも高く盛り上がっています。手厚く整備された竹やぶを、地元の人は「モウソウ畑」とよんでいます。栽培用に整備されたモウソウ畑の地面は布団をかぶせたようなやわらかさです。人が歩くとせっかく手入れした土が固くなるので、栽培農家の人だけが、そっと入って作業をします。土のかすかなひび割れを手がかりに、地中の筍を探してだいじに掘り上げます。

 この地域の筍が京料理の食材として使われ続けてきたわけは、洗練した味と品質を保つ工夫がされてきたからです。タケノコが地表に出る前に収穫してエグ味をなくす栽培法を確立し、伝承されてきました。都人は収穫されたタケノコをすぐにゆでる習慣を身につけました。

 地中にある筍を傷をつけずに掘り上げる道具=「ホリ」を使う技術、それを支える鍛冶職人…。
皆がつながりあって京の文化を伝えてきたのでしょう。