洛菜庵

古都の郊外、四季折々の散歩道です

百人一首を襖絵にしたら、水無瀬の景

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3月15日に、JRの新駅・島本駅が開設されました。JR京都線、大阪から京都への中ほどです。
天王山の南、京都盆地から流れる三川が合流して淀川となる辺りにあります。
新駅の前に歌碑が建てられました。藤原定家後鳥羽院の歌が刻まれています。
この辺りは後鳥羽院の別荘・水無瀬離宮があったところ。定家もよく遊びに来たそうです。

で、小倉百人一首藤原定家が選んだ歌集のひとつです。でも、新古今和歌集のようなハイレベルのものでなく、一首ずつみるとフツウの歌。しかしそこには、なにやら謎を秘めた選び方になっているらしい。
色紙に書いて、縦横十首ずつ障子に貼っていくと、百首のキーワードがつながるように構成されているのです。花、滝、月などの言葉が縦横に鎖のようにつながります。
その言葉を絵に置き換えると…、なんと、いまの島本町あたりの山水画になるのです。つまり、当時の水無瀬離宮周辺の風景になるのです。どうやら、定家は、隠岐に流された後鳥羽院を悼んで、和歌を選ぶときにこっそり仕組んだらしいのです。

この島本駅は、隣りの山崎駅とともにJR京都線のなかでも借景に恵まれています。淀川の葦原がつづく野で、狩りに戯れるみやこびとの栄華を想うひとときも、また、をかし。