洛菜庵

古都の郊外、四季折々の散歩道です

加賀屋敷

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いまの大山崎山荘美術館・本館のことです。

大正期に建てられた落ち着いた英国風本館。モネ「睡蓮」に出会う近代建築の新館も。
淀川に合流する三川の地にテムズ河を重ねた、故加賀正太郎の感性をいまも味わえる文化博物館です。


で、…。
この建物を建てた加賀正太郎氏は、別荘としてこの地を選びました。
天王山の麓です。JR山崎駅を降りて、急坂を5分ほど歩いたところです。

ロケーションはすばらしい。テラスからの眺めは京都盆地の三川(桂川宇治川、木津川)が合流する広い河原です。加賀がここを選んだのはウイスキーの本場・スコットランド雄大な風景に似ているとの理由もあったようです。(写真はその中州の「背割堤」から撮ったものです)


昭和の初めころ…
本物志向のウイスキー造りを目指す竹鶴政孝が、サントリー(当時の寿屋)を退社し、資本を集めて北海道余市で創業しました。ニッカウヰスキーの前身です。

そのとき、資本を提供したのが加賀証券社長の加賀正太郎氏でした。1935年頃のことです。加賀はニッカの社内では御主人様と呼ばれていたそうです。

20年後、病床にあった加賀は死期が近いことを知り、株券の散逸を防ぐために保有する全ての株式を朝日麦酒に売りました。加賀はあえて竹鶴の知人を売却相手に選んだようです。朝日麦酒は役員1名を派遣したのみで製造には口を出さなかったそうです。
結果として、竹鶴社長のウイスキー製造の矜持を守ることになりました。

加賀氏の屋敷は何度か転売され、いまは加賀氏ゆかりのアサヒビールが美術館として改装し、当時の姿を残しています。

ついでに…
この建物の500メートル南に、サントリーウイスキー山﨑蒸留所があります。うっかり、美術館の所有会社を間違う人がいます。



じつは、朝刊のテレビ欄に…

ミューズの微笑み「大山崎山荘美術館
NHK教育
2008年11月22日(土)
放送時間=午後11:00~午後11:30

…を見つけたので、少しだけ加賀屋敷のことを紹介しました。