洛西・
金蔵寺は静かで趣きがあり、極上の紅葉を味わえる古刹です。
木々は淡くなったみどり色から黄色、真紅の楓葉など。
富んだ彩りと
コントラストが大胆で、秋の
里山の景を堪能できます。
白洲正子の随筆「かくれ里」の中に「西岩倉の
金蔵寺」という一文があります。
導入部を簡単に紹介すると…。
車で
善峰寺へ紅葉を見に行くつもりだったけど、運転手が山へ上る道を間違えて
金蔵寺へ着いてしまいました。
金蔵寺は前から白洲さんがひそかに気になっていた寺だったけど、行きにくい所なのであきらめていたらしい。
でも、…
「善峰よりもはるかに静かで、紅葉も美しい」
「道をまちがえることも時にはいい」
と、べた褒めです。
随筆は本旨で、清濁併せ持つ日本の
大乗仏教を仮説するのですが、
ここでは触れません。
錦繍の西山を見下ろすと、やさしい
里山にこころが落ち着きます。
紅葉の微妙な彩りを楽しみながら、境内をゆっくり散歩します。
近くに
名刹は多く、善峯寺は西国巡礼三十三所の二十番札所です。
JR東海の30秒CMに登場した洛西・善峯寺や
西山浄土宗総本山・
光明寺に比べて、ここは交通が不便であり、たとえ
JR東海のCMに採用されても訪れる車でたちまち交通渋滞を招いて、地元や観光人それぞれ迷惑なことに違いありません。
きょうは雨。
雨上がりにしっとり濡れた秋の葉は彩度が際立って、いっそう豪奢な錦織となることでしょう。